2020.06.04 UP
新しい聴力検査、ABR(聴性脳幹反応)が当院に導入されました
新しい聴力検査、ABR(聴性脳幹反応)が当院に導入されました。
2020年1月末、当院にABRが導入されました。
ABRは、簡単に言うと脳波で聞こえの検査ができる機械です。検診のように聞こえた音をボタンで押さなくていいので、小さな子供の難聴の診断に欠かせません。
昔は脳波を取るためには、睡眠薬で眠らせなくてはいけなかったのですが、今回当院に導入した機械は起きたままでも脳波をはかれるものになっています。
ABRは大きな総合病院にあることが多く、クリニックでほとんど導入されていません。今回当院では小児難聴の診断に欠かせないABRを導入することで、より正確な診療を行えるようになりました。
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新生児聴覚スクリーニングといって、OAEやAABRという生まれたばかりの赤ちゃんに行う検査があります。
赤ちゃんの1,000人に4-5人が新生児聴覚スクリーニングで要検査になります。要検査の方の全員が難聴になっているわけではありません。1,000人に一人の割合で両耳の難聴が見つかります。
新生児聴覚スクリーニングでOAEやAABRを行い、要検査になった場合はたとえ片側のみであっても精密検査としてABRを行わなくてはいけません。小児難聴は早期診断がとても大事です。
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起きたままできるABRといっても、体の動きがあると上手く取れません。家族の方に抱っこしてもらったり、おとなしく本を読んでいる状態だときれいに検査できます。でも大暴れしたり、泣いたりしている状態だと脳波より筋肉の電気信号のほうが大きくなり、上手く検査ができない場合があります。
検査の時間が40-60分かかるため、一度来院されて患者さんご本人が受診してもらい、いつ検査するかご相談させてもらいます。
赤ちゃんの難聴が疑われる場合、本当に難聴のこともあれば、中耳炎になっていたり耳垢がたまっていたり、さまざまな原因が考えられます。できるだけ早く、専門的な対応ができるところでご相談をおすすめいたします。
当院院長は小児耳鼻咽喉科学会および日本聴覚医学会に所属しており、補聴器相談医です。札幌医科大学ではABRの解析を3年間行っておりました。小児難聴に関して気になる点がございましたら、お気軽にご相談していただけましたら幸いです。
すずらん耳鼻咽喉科
院長 佐藤 純