すずらん耳鼻咽喉科ブログ

2020.11.03 UP
デュピクセントについて〜鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〜

デュピクセントについて〜鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〜

 

・当院ではデュピクセントを用いて、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する治療を行っております。

 

<デュピクセントとは>

・デュピクセントは新規に開発された生物学的製剤で、注射薬です。

・今までにない新しい薬です。アレルギーに関係するサイトカイン(IL-4とIL-13)という物質を抑え、アレルギー反応を抑える働きがあります。それにより、鼻茸を伴う副鼻腔炎を改善します。

・耳鼻咽喉科では、今年2020年から使用することができるようになりました。

・アレルギーと耳鼻咽喉科の専門的な知識が必要とされる薬剤です。

 

<デュピクセントを使える病気>

・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎を持つ患者さんで、特に手術をしても鼻茸が再発をしたり、ステロイド内服や点滴でも効果がない方が対象になります。

・デュピクセント対象となる患者さんのほとんどは、好酸球性副鼻腔炎です。簡単に言うとアレルギーが引き起こす、慢性副鼻腔炎の中でも特殊なタイプです。

・好酸球性副鼻腔炎は厚生労働省の難病指定を受けることも多いため、開始前にご相談が必要です。難病指定の申請にはお時間がかかることが予想されます。

・デュピクセントは高額な薬剤です。しかし多くの場合、難病指定を受けるとデュピクセントの自己負担額が軽減されます。

 

<院長と生物学的製剤>

・院長はアレルギーの生物学的製剤を中心に研究しておりました。CTLA4-Ig、ICOS-Igという生物学的製剤を研究し、医学論文を書いております。院長の主な筆頭論文は下記1-4になります。

・下記論文の1と2は学位論文です。院長は生物学的製剤で医学博士をとっております。

・デュピクセントは、主にアレルギーがある特殊な副鼻腔炎に対する治療です。院長は耳鼻咽喉科専門医であり、アレルギー専門医です。手術しても鼻茸を再発して、なかなか治らない方など、お困りの方はまずご相談ください。

 

<生物学的製剤に関する、院長の主な論文>

(その他論文は院長挨拶・経歴をご参照ください)

1. Suppressive effects of CTLA4-Ig on nasal allergic reactions in presensitized murine model.
Sato J, Asakura K, Murakami M, Uede T, Kataura A.
Life Sci. 1999;64(9):785-95.

2. Topical CTLA4-Ig suppresses ongoing mucosal immune response in presensitized murine model of allergic rhinitis.
Sato J, Asakura K, Murakami M, Uede T, Kataura A.
Int Arch Allergy Immunol. 1999 Jul;119(3):197-204.

3. Adenovirus-Mediated ICOSIg Gene Therapy in a Presensitized Murine Model of Allergic Rhinitis.
Sato J, Konno N, Murakami M, Uede T, Himi T.
Adv Otorhinolaryngol. 2016;77:59-66.

4. 抗原提示細胞とT細胞の補助シグナル
Author:佐藤 純(すずらん耳鼻咽喉科)
Source:上気道炎症における鼻粘膜の役割, 2012, pp277-283

 

<デュピクセント公式ページ>

 

 

 

サノフィのホームページにも詳細が載っております。クリックするとサノフィのホームページに飛びます。

 

 

2020.09.05 UP
秋のキク科花粉症が始まっています

秋のキク科花粉症が始まっています

十勝地方では、8月13日から秋のキク科雑草の花粉症が観測されています。

外来にも多くの花粉症の患者さんが受診されております。

紫色の線がキク科のヨモギの花粉量です。

ヨモギは8月13日から花粉が飛び始め、8月下旬から急激に花粉が増えているのがわかります。

ちなみに緑色の線は夏のイネ科の花粉です。夏のイネ科の花粉はほぼ終了していると思います。

帯広保健所のデータです。コロナ対策などで大変忙しいところと思いますが、花粉データを上げてもらってたいへん助かっております。

キク科はくしゃみや鼻水、鼻づまりだけでなく、目やのど、咳の症状を出すことも多く、注意が必要です。症状がある場合は早めに受診されることをおすすめします。

 

すずらん耳鼻咽喉科

院長 佐藤 純

 

2020.07.06 UP
夏のイネ科花粉症にご注意を

夏のイネ科花粉症にご注意を

夏のイネ科の花粉が飛散しております。

イネ科の花粉は飛散が数十メートルと言われています。100m以内にないと症状は出ません。しかし十勝管内は非常にイネ科が多いため通勤や通学、外での庭仕事や草刈りなどで大量に花粉を浴びてしまう方も少なくありません。

外出するときの対策

・メガネやゴーグルをかけたり、マスクをしたりすることが効果があります。イネ科の花粉はとくに接触性皮膚炎を起こしやすく、強いアレルギー性結膜炎を起こす場合があります。

・つばの広い帽子をかぶることで、髪の毛に花粉がつくのを防ぐことが出来ます。

・つるつるした素材の服を着ることで、服に花粉がつくことを防ぎます。また家に入る前に花粉をほろってから玄関を開けましょう。

 

心当たりがある方は一度、アレルギーの血液検査をおすすめします。

自分のアレルギーについて知っておくことで、くすりをあらかじめ使用することができます。花粉症の場合はその症状のでる期間が決まってきますので、適切な対策を取ることが出来ます。

 

ご参考になりましたら幸いです。

 

すずらん耳鼻咽喉科

院長 佐藤 純

 

2020.06.04 UP
新しい聴力検査、ABR(聴性脳幹反応)が当院に導入されました

新しい聴力検査、ABR(聴性脳幹反応)が当院に導入されました。

 

2020年1月末、当院にABRが導入されました。

ABRは、簡単に言うと脳波で聞こえの検査ができる機械です。検診のように聞こえた音をボタンで押さなくていいので、小さな子供の難聴の診断に欠かせません。

昔は脳波を取るためには、睡眠薬で眠らせなくてはいけなかったのですが、今回当院に導入した機械は起きたままでも脳波をはかれるものになっています。

ABRは大きな総合病院にあることが多く、クリニックでほとんど導入されていません。今回当院では小児難聴の診断に欠かせないABRを導入することで、より正確な診療を行えるようになりました。

■ ■ ■

新生児聴覚スクリーニングといって、OAEやAABRという生まれたばかりの赤ちゃんに行う検査があります。

赤ちゃんの1,000人に4-5人が新生児聴覚スクリーニングで要検査になります。要検査の方の全員が難聴になっているわけではありません。1,000人に一人の割合で両耳の難聴が見つかります。

新生児聴覚スクリーニングでOAEやAABRを行い、要検査になった場合はたとえ片側のみであっても精密検査としてABRを行わなくてはいけません。小児難聴は早期診断がとても大事です。

■ ■ ■

起きたままできるABRといっても、体の動きがあると上手く取れません。家族の方に抱っこしてもらったり、おとなしく本を読んでいる状態だときれいに検査できます。でも大暴れしたり、泣いたりしている状態だと脳波より筋肉の電気信号のほうが大きくなり、上手く検査ができない場合があります。

検査の時間が40-60分かかるため、一度来院されて患者さんご本人が受診してもらい、いつ検査するかご相談させてもらいます。

赤ちゃんの難聴が疑われる場合、本当に難聴のこともあれば、中耳炎になっていたり耳垢がたまっていたり、さまざまな原因が考えられます。できるだけ早く、専門的な対応ができるところでご相談をおすすめいたします。

当院院長は小児耳鼻咽喉科学会および日本聴覚医学会に所属しており、補聴器相談医です。札幌医科大学ではABRの解析を3年間行っておりました。小児難聴に関して気になる点がございましたら、お気軽にご相談していただけましたら幸いです。

 

すずらん耳鼻咽喉科

院長 佐藤 純

2020.06.01 UP
2020年十勝シラカバ花粉症 大量飛散が続いています

2020年十勝シラカバ花粉症 大量飛散が続いています

6月に入りました。今年はシラカバ花粉の大量飛散の年です。今年は患者さんの目や鼻、のどなどの症状がかなり強い印象です。

帯広保健所からのデータです。新型コロナ対策でお忙しいところ、データの更新をしていただき、たいへん助かっております。

いまだにシラカバ花粉が多く続いています。ほかの年なら1年で最高にとぶ花粉量が20−30個なのですが、そのぐらいの花粉が毎日飛んでいることになります。今年の最大は120個を超えて、過去10年間で2番めに多い年になっています。

こちらが過去10年間のシラカバ花粉のデータです。

シラカバの花粉は6月上旬で終了することが多いのですが、花粉の量が多い年は、終了も遅くなる傾向があります(少なくてもダラダラ続く年もありますが)。

さらに6月に入ると、イネ科の雑草や牧草が出てきます。いますでにオーチャードグラス(カモガヤ)、チモシー(オオアワガエリ)がそこかしこで見られます。草刈りなどでくしゃみや鼻水、鼻づまりがありましたら、これらのイネ科が疑われます。

 

シラカバ花粉症に加えて、夏のイネ科の花粉症がかなり出てきています。症状が悪化すると薬が効きずらく、良くなるまでに時間がかかるようになります。ひどくなる前に早めに治療をすることをおすすめいたします。

新型コロナウイルスの緊急事態宣言は解除になりましたが、当院でも安全に最大限に配慮して診察を行っていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。

すずらん耳鼻咽喉科

院長 佐藤 純

2020.05.19 UP
2020年 十勝シラカバ花粉 今年は大量飛散しております

【今年は十勝のシラカバ花粉の大量飛散年です】

今年のシラカバ花粉症はここ10年間と比較して2番めに多い、大変な状況になっています。

帯広保健所のデータを参考にさせてもらっています。

現時点でのシラカバ花粉の飛散状況です。ピークは120個を超えています。

この数字は、過去10年間で2番めに花粉が多いことになります。

最大捕集数とは花粉の最大数、つまり花粉のピークを示します(右から2番めの欄です)。

2010年から昨年までのデータのうち、2018年が最大172個でした。

それ以外の年は最大100を超えていません。

しかし今年2020年はすでに120個を超えていますので、ここ10年間と比較して2番めに花粉が多い年になっています。

 

【症状、治療について】

今年は花粉が多いせいか、患者さんも目の症状がかなり強く、鼻やのどのかゆみの訴えも多くなっています。

ひどくなっても放置していると、いざ薬を使っても症状改善に時間がかかるため、早めに薬を使って抑えることが重要です。

 

【果物アレルギー、シラカバ花粉症(PFAS)について】

シラカバ花粉症があると、バラ科の果物であるリンゴモモなどのアレルギーが出たりすることがあります。

最近ではシラカバ花粉症と豆乳のアレルギーが関係していることが分かってきております。

これらは花粉症と食べ物が関係しているため、以前は口腔アレルギー症候群(OAS)、最近では花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)と呼ばれています。

他にも夏のイネ科の雑草でスイカメロンのアレルギー、秋のキク科の雑草でセロリニンジンのアレルギーが出ることがあります。

当院で血液検査をすることでPFASの診断ができます。検査結果には1週間前後お時間をいただきます。また、検査項目がない果物や食べ物もありますのでご注意ください。

 

【最後に】

新型コロナウイルスで大変お忙しい中でも、保健所の方々には花粉症のデータを提供してもらっており、たいへん助かっております。ありがとうございます。

今年の春のシラカバはかなり花粉が多くなっています。そして次に夏のイネ科、秋のキク科と、他の花粉が多くなる季節になります。ご注意ください。

 

ご参考になりましたら幸いです。

 

すずらん耳鼻咽喉科 院長 佐藤 純

2019.12.16 UP
日本アレルギー学会・総合アレルギー講習会に参加しました。

2019年12月14−15日に横浜で行われた日本アレルギー学会主催の総合アレルギー講習会に参加しました。

 

アレルギー専門医はこの講習会の出席が必須になりました。院長はアレルギー専門医を取得していますので、この総合アレルギー講習会と日本アレルギー学会の総会に出席しなくてはいけません。

基礎研究や内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科など総合的なアレルギーの講習を受けてきました。大変勉強になることが多い学会でした。

当院でも行っている舌下免疫療法の教育セミナーでは、以前に十勝でも公演していただきました日本医科大学の後藤先生(1)に、舌下免疫療法についていろいろと質問させてもらいました。

 

アレルギーに関しては日進月歩で研究が進んでおります。今回の講習会でも日本の最先端の診断、治療について勉強させてもらいました。

講習会で学んだことを、また外来診療でみなさまに提供していけたらと思います。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

(1)当院ブログ関連記事

■とかちアレルギー疾患セミナー 4月25日行われました

https://ameblo.jp/suzuran-jibi/entry-11835434623.html

2019.06.14 UP
日本アレルギー学会に参加しております

休診のため、皆様には大変ご迷惑をおかけしております。

院長は日本アレルギー学会に参加しております。

・三重大学の臨床教授である湯田先生と学会場で、かなりいろいろと意見交換をさせていただきました。日本で一番、舌下免疫療法をやっておられる先生です。大変勉強になりました(MS13-1、EVS1-2)。

・千葉大学の飯沼先生のグーグルを使った花粉症の発表は興味深かったです(MS3-2)。

・大阪はびきの医療センターの山本先生のデュピルマブの報告はIL-4/13受容体モノクローナル抗体の治療の可能性を感じさせるものでした(MS3-5)。

 

学会で得た新しい知見を持ち帰って、皆さんに還元できたらと思います。

休診のため、大変ご迷惑をおかけしておりますがご理解の程よろしくお願いいたします。

 

すずらん耳鼻咽喉科

院長 佐藤 純

 

2018.11.08 UP
【風邪薬】「ルル」「パブロン」など「コデイン」を含む風邪薬、2019年から12歳未満は使用不可に

お子様の風邪のとき、市販薬の使用にご注意ください。

 

「ルル」「パブロン」など「コデイン」を含む風邪薬、2019年から12歳未満は使用不可になります。

 

その理由は、コデイン(コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩)が入っているためです。

 

コデインには呼吸困難などの重篤な副作用を引き起こす場合があり、特に小さな子供には副作用が以前から心配されてきていました。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1811/06/news095.html

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181106-00000057-it_nlab-sci

 

対象となる薬は

「新ルル-A錠s」

「パブロンゴールドA<微粒>」

「ベンザブロックS」

など、よく薬局でも見かける医薬品数百種類に及びます。

 

現在、改訂中のために古いパッケージと新しいパッケージでは使用可能な年齢が違う場合がありますのでご注意ください。

 

 

 

すずらん耳鼻咽喉科 

院長 佐藤 純

2018.10.04 UP
2018年ノーベル医学生理学賞に本庶・アリソン教授 PD-1/CTLA4

2018年ノーベル医学生理学賞に本庶・アリソン教授が決定しました。当院の院長にも非常に関係のある研究での受賞となりました。

 

本庶佑・京都大学教授はPD-1の、アリソン・テキサス大教授はCTLA4についての研究です。

院長の学位論文は2本あります。論文タイトルにはCTLA4という文字が入っております。私は今回ノーベル賞のアリソン教授と同じ分野を研究していました。

 

【院長・学位論文】

  1. Suppressive effects of CTLA4-Ig on nasal allergic reactions in presensitized murine model.
    Sato J, Asakura K, Murakami M, Uede T, Kataura A.
    Life Sci. 1999;64(9):785-95.
  2. Topical CTLA4-Ig suppresses ongoing mucosal immune response in presensitized murine model of allergic rhinitis.
    Sato J, Asakura K, Murakami M, Uede T, Kataura A.
    Int Arch Allergy Immunol. 1999 Jul;119(3):197-204.

 

アリソン教授はCTLA4をガンを抑える研究でノーベル賞に輝きました。

 

私の博士号論文はCTLA4を用いてアレルギー性鼻炎を抑えられるか、という世界初の報告でした。今回、この研究領域は20年の時を経て2018年のノーベル医学生理学賞になっております。

 

私の今は亡き弟は内科医でテロメアを研究しておりました。その研究領域は2009年にノーベル医学生理学賞になっております。兄弟の研究領域とも医学の本流となっていることは大変喜ばしいことです。

 

世界中の研究者が寝る間も惜しんでやっていた研究の結果が、いま多くの患者さんに使われる薬となっています。これからも医学の進歩におくれないように頑張りたいと思ったニュースでした。

 

 

佐藤 純(すずらん耳鼻咽喉科)

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